ドルコスト平均法を用いた投資信託の積立のメリットとデメリット。
本年(2018年)からつみたてNISAが始まり、色々な書籍やサイトでも積立投資が扱われるようになりましたね。
特にドルコスト平均法を利用して、インデックスファンドを積み立てる投資法をインデックス投資と呼んでいるそうです。
私も一般NISAが始まる前の特定口座の時代から投資信託の積立をしています。
今回は、投資信託の積立によるメリットやデメリットについて考えてみましょう!
【目次】
- 【ドルコスト平均法の意味は?】
- 【つみたてNISAもドルコスト平均法を採用した投資法】
- 【積立投資(ドルコスト平均法)のメリット】
- 【積立投資(ドルコスト平均法)のデメリット】
- 【投資信託の積立のメリットとデメリット、まとめ】
【ドルコスト平均法の意味は?】
積立というと、まず銀行の積立預金を考える方が多いのではないでしょうか?
また投資というと、やはり安い時に買って、高い時に売るといった、値上がり益を狙うものと考えている方も多いと思います。
私自身も投資というのは、主に売却益を狙って、一括購入するものだと思っていました。
ただ、その後、何冊かの投資関係の本を読むにあたり、積立投資の仕組みに納得するものがあり、実際に始めてみる事にしました。
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◆ ドルコスト平均法の仕組みをわかりやすく説明すると
ドルコスト平均法による積立投資は、毎月、決まった日付に決まった金額で投資信託を買い付けていく投資法です。
その際、投資信託の価格である基準価額(投資信託の株価のようなもの)の高低に関わらずに買い付けていきます。
値下がりした時を狙わず、機械的に淡々と買い付けていきますから、当然安く買える時もあれば、高く買わされてしまう時もあります。
それを中長期的に続けていく事で、結果としては、その投資信託の基準価額のチャートとほぼ同様の値動きで平均的に買い付けていく事になります。
ですので、最終的にその選択した投資信託が順調に成長をしていけば、その成長に伴っって、投資した資産を増やす事ができます。
【つみたてNISAもドルコスト平均法を採用した投資法】
2018年から始まったつみたてNISAも、インデックスファンドを中心としたドルコスト平均法による積立投資です。
インデックスファンドとは「投資信託とは?インデックスファンドとアクティブファンド」で説明したように、国別や地域別の投資指標(ベンチマーク)に連動した投資信託の事です。
例えば、日本国内のインデックスファンドであれば、日経平均株価に連動した投資信託やTOPIXに連動したインデックスファンドがあります。
このインデックスファンドには、国内株式だけではなく、米国を中心とした先進国のインデックスファンドや新興国のインデックスファンド、また国内外の債券のインデックスファンドなどもあります。
これらのインデックスファンドを組み合わせる事て、世界的に分散して投資を行う事ができます。
前回紹介した「バランスファンド」もインデックスに連動したものであれば、インデックス投資と言えるでしょう。
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【積立投資(ドルコスト平均法)のメリット】
積立投資を行うメリットには、以下のようなものが考えられます。
(1)少額から始める事ができる。
(2)相場の値動きに振り回されない。
(3)日本にいながら、国際分散投資ができる。
(4)投資した資産を守る仕組みがある。
(5)長期的に継続できれば、複利的な効果が得られる。
順に説明してみましょう。
(1)少額から始める事ができる。
例えば、株式の個別銘柄の場合は、大体100株単位での売買になりますから、一株1,500円位の株式でも、購入するのに15万円の資金が必要になります。CMなどで見かける大企業であれば、一株が数万円単位はざらです。
投資経験のない方であれば、いきなり15万円も投資するのは、少し怖いですよね。
その点、SBI証券や楽天証券などであれば、投資信託は100円から購入できます。それも100円で一口ではありません。基準価額が10000口で10,000円の投資信託であれば、100円で100口買える訳です。
↓ 楽天証券であれば、ポイントで投資する事も可能です。
投資を始めるには良い時代になったものだと思いますね。
(2)相場の値動きに振り回されない。
積立で投資する場合も、証券会社で自動で毎月決まった日に購入する方法と自分で相場が下がった時にだけ買い足していく方法があります。
どちらが究極的に有利かと言えば、相場が下がった時にだけ買い足していく方法だと思います。
ただし、相場というものは、なかなか読む事ができませんし、日々の値動きも、長期的に見ると、わずかな誤差である場合がほとんどです。
そう考えると、日々の値動きを気にするよりは、自動で毎月決まった日に購入する方が、労力の少ない投資法と言えるでしょうね。
(3)日本にいながら、国際分散投資ができる。
投資信託には、米国などの先進国に投資できる投資信託や中国・インドといった新興国に投資できる投資信託もあります。
これらの投資信託を組み合わせれば、外国に証券口座を作って、外国の証券取引所で取引するような手間はかかりません。
積立投資の場合は、最初に1回設定すれば、後は自動で積み立ててくれます。
(4)投資した資産を守る仕組みがある。
これは積立投資に限りませんが、投資信託というものは、販売会社・運用会社・信託銀行の三位一体で運営されています。
少しだけ、説明してみましょう。
・販売会社
顧客に投資信託の販売を行う会社。証券会社や銀行など。
・運営会社
投資信託の構成を考える会社。運用に対する指示を出す。
・信託銀行
顧客の資金を預かり、実際に運用を行う会社。
分かりやすく言うと、運用会社が構成した投資信託を販売会社が売り、顧客から預かった資産を実際に運用するのは信託銀行という訳ですね。
こうした三権分立の体制を取る事で、いずれか1社が倒産した場合でも、顧客の資産を守る仕組みが投資信託にはあります。
例えば、販売会社が潰れた場合でも、顧客の資産は信託銀行にあり、直接の被害はありません。販売会社が別の販売会社に変わって運営は継続されます。
運用会社が潰れた場合も基本的には同様で、顧客の資産に直接の影響はありません。
また信託銀行が倒産した場合も信託銀行は、自社の資産と顧客の資産は分けて管理する義務があり、顧客の資産は守られます。
ただし、投資自体が元本保証ではありませんから、運用次第で元本が減る可能性はあります。
(5)長期的に継続できれば、複利的な効果が得られる。
複利的な効果というのは、銀行で言えば利息のようなもので、例えば100万円を投資して年率3%の運用益が出た場合を想定すると以下のようになります。
(ここでは分かりやすく、利息として計算してみます)
1年目 100万円×1.03=103万円
2年目 103万円×1.03=106万900円
3年目 106万900円×1.03=109万2727円
4年目 109万2727円×1.03=112万5509円
5年目 112万5509円×1.03=115万9274円
元本に対する利息分だけでなく、元本に利息を足したものに、毎年利息が付いていっているのが分かりますね。これを複利と言います。
最初は少額ですが、10年20年と継続して複利的な効果を得ていく事で、馬鹿にできない金額となっていきます。
投資の場合は、実際には運用がマイナスになる年もありますが、こうした元本に運用益が加わり、それを元手に運用していく事で、複利的な効果を目指します。
これに加えて積立投資の場合は、積み立てていく事自体で投資元本が増えていきますので、そこに複利的な効果も加えて、長期的に資産を増やしていこうというのが積立投資の根本的な考え方です。
ただし、複利的な効果を充分に得るためには、分配金を出さないファンドを選ぶことが肝要となります。
分配金を出すという事は、運用益を排出してしまう訳ですから、複利的な効果を削減してしまう事になるので、注意が必要です。
長期的に投資する価値のあるファンドを選ぶ事が重要ですね。
【積立投資(ドルコスト平均法)のデメリット】
何だか良い事ばかりの積立投資ですが、投資である以上、当然デメリットもあります。積立投資のデメリットも考えてみましょう。
順に説明してみましょう。
(1)長期的に継続しないと、充分な利益は得られない。
積立投資は、少額から少しづつ積み立てていくという性質上、株式の個別銘柄のように、一気に2倍になるとか、10倍になるとかの一攫千金は難しいと思います。
ただアクティブファンドであれば、時流に乗って、一時的に1.5倍位になる事もあります。
ただし、そのファンドが継続的に同じようなパフォーマンスを上げる事ができるかと言えば難しいでしょうね。
やはり積立投資は、地道にコツコツ続けていける方向けという事ですね。
(2)暴落時には、大幅に元本割れするリスクもある。
積立投資で世界的に分散して投資をしていれば、株式の一括投資と比べれば、大幅に分散をしているため、かなりのリスクの軽減にはなります。少なくとも、まったくの0になるという事はないでしょう。
それでも、リーマンショックのような世界的な暴落が起きた場合は、やはり一時的には大幅な投資資産の下落はあると思います。
そこで投資をやめてしまうか、踏みとどまれるかが、積立投資の運命の分かれ道でしょうね。
(3)ファンドを保有している期間、永続的に信託報酬がかかる。
信託報酬については、「投資信託の選び方。ファンドを選ぶ4つの基準とは?」で詳しく説明しましたが、ファンドを保有している期間にかかる運営手数料の事です。
といっても、現在のインデックスファンドは、ここ数年でかなり信託報酬の値下げが行われました。
現在の水準であれば、あまり神経質になる必要はないかもしれません。要はできるだけ信託報酬の安いファンドを選択すべきという事ですね。
改めて、積立投資を行うのに良い環境になったなと思いますね。
【投資信託の積立のメリットとデメリット、まとめ】
今回は、積立投資のメリットやデメリット、またドルコスト平均法の意味なども紹介してみましたが、いかがでしたか?
私個人の経験を言えば、投資を始めた当初は、自動で積立をしたり、相場の下がった時に自分で購入したりを繰り返していました。
自動で積立をしていると、「えっ!こんなに値上がりしているのに積立ちゃうの?」と思う事が度々ありました。
当時は、確か1銘柄、月1,000円からの積立だったと思いますが、上がっている時に買われてしまうのは、ちょっとなぁ…と思っていました。
そうすると、自動積立をやめて、相場の下がった時を狙う事になる訳です。
不思議なもので、相場が下がるのを待っていると、なかなか下がってこない。1日に何度も証券会社のサイトを見ていた事もありました。(労力の消費です)
また国内の株式や債券のファンドは、当日約定(当日に購入の申し込みをし、当日の基準価額で購入する)が可能なのですが、国内株式でも一部のアクティブファンドや外国株式のファンドは、翌日が約定日になります。
そうなると、申込をした翌日の相場の価格になる訳ですから、翌日の相場はどうなるか分かりません。
結局、また自動積立に戻る訳です。その繰り返しでしたね。
現在では、私はNISA口座(積立NISAではないNISA)で積立投資を継続しています。基本的には自動積立を利用し、相場が下がった時だけスポット購入する感じですね。
NISA以前に積み立てていた特定口座で積み立てていた分は、現在では積立はしていませんが、そのまま保有しています。
複利の効果が効いているからでしょうか、ここ2年ほどは元本割れをしていませんね。
私自身も、今後も積立投資を続けていくつもりです。
今回も最後までお読み頂きありがとうございます!
次回は、投資のリスクについて、お話する予定です。
↓ ロボアドバイザー、ウェルスナビの真の実力は?
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バランスファンドのデメリットを解決する「コア・サテライト戦略」とは?
これまで、この「投資信託入門」のカテゴリーでは、「投資信託とは?」で各指数(ベンチマーク)を「投資信託の選び方」で投資信託を選ぶ基準について説明してきました。
今回は、一般的に初心者向けのファンドと言われるバランスファンドの意味とメリットやデメリット、そしてデメリットを解決する「コアサテライト戦略」について紹介します。
【バランスファンドとは?】
バランスファンドとは、「投資信託とは?」で紹介した各投資指数(ベンチマーク)を組み合わせた投資信託の事です。一般的には株式と債券の指数を組み合わせたファンドの事を意味します。
色々なバランスファンドがありますが大別すると、以下のようなものがあります。
順に説明していきましょう。
(1)均等型のバランスファンド
均等型は4資産均等とか8資産均等型と呼ばれるバランスファンドの事です。
4資産であれば、「日本株式」、「先進国株式」、「国内債券」、「先進国債券」を25%ずつの均等の構成となります。
8資産均等であれば、上記の4資産に加えて「新興国株式」、「新興国債券」、「国内REAT(不動産)」、「外国REAT」といった構成が多いですね。各資産を12.5%とします。
代表的なものとしては、三菱UFJ国際-eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)などがあります。
また三井住友-DC年金バランスシリーズのように、均等ではなく、日本株式の割合をやや多めに構成されているバランスファンドもあります。
(2)地域別の時価総額やGDPの割合を基準としたもの
一般的には株式と債券の割合を50%ずつとした上で、上記の指数を地域別の時価総額やGDPの割合で組成したものです。
時価総額にしてもGDPにしても、やはり米国を中心とした先進国の割合が多いバランスファンドとなります。
時価総額型よりもGDP型のほうが新興国の割合が高くなり、リスクも高くなります。
時価総額型としては、セゾン投信のセゾン・バンガード・グローバルバランスファンド、GDP型としては、三井住友TAMの世界経済インデックスファンドなどがあります。
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(3)ターゲットイヤーを決めて、株式と債券の割合を変えていくもの
10年後や20年後をターゲットイヤー(退職など)と定め、ターゲットイヤーに向けて、株式から債券の割合を高めていくような運用を行います。
若い時は、株式の割合を高めて資産を増やし、定年に向けて債券の比率を高めて安定した運用を目指すのが特徴です。
代表的なものとしては、SBI-セレブライフ・ストーリーシリーズなどがあります。
上記以外にも、最初から株式の割合を7割近くに設定したものや、逆に株式の割合を3割程度に抑えたバランスファンドもあります。
【バランスファンドのメリットは?】
〇地域の分散ができる。
バランスファンドで運用する最大のメリットは、「卵を一つの籠に盛るな。」の格言通り、バランスファンド一本に投資するだけで、世界中の株式や債券に分散して、投資を行う事ができる事です。
元々、投資信託は、各国ごとや地域ごとに分散されていますが、その国ごとや地域ごとに分散されている投資信託を組み合わせる事によって、さらに分散効果を高める事ができます。
例えば、今は日本株はだめだが、先進国は安定しているとか、新興国に陰りが出ていても、日本株が逆に勢いがあるとか、地域を分散させる事によってリスクの軽減をはかる事ができる訳ですね。
〇資産の分散ができる。
また世界的に株式が追随して暴落した場合も、株式のみで構成されたファンドと比べれば、債券を含んでいるため、損失の軽減を見込めます。
〇自動的にリバランスしてくれる。
運用中にある資産が高騰したり、暴落すると、当初予定していた資産配分のバランスが崩れてしまう事があります。
そのままにしておくと、せっかく分散してリスクを軽減していたにも関わらず、逆にリスクを高める可能性が出てきます。
ですので、高騰した資産を売却して、下落した資産を買い足すなどのリバランスが必要となりますが、これって面倒臭いですよね。
バランスファンドであれば、リバランスを自動的にやってくれます。
【バランスファンドのデメリット】
バランスファンドのデメリットも紹介しておきましょう。
〇資産配分の細かい設定ができない。
バランスファンドのデメリットとしては、自分好みの細かな資産配分ができないという欠点があります。
バランスファンドの構成に対して、もう少しだけリスクを取って、先進国や日本の株式を増やしたいとか、逆に安定資産である債券を増やしたいと思っても、構成比率が決まっているため、構成に従うしかありません。
〇途中で資産配分の変更ができない。
上記で紹介したターゲットイヤー型のバランスファンド以外のバランスファンドでは、途中で資産配分の変更は行われませんし、自分で変更したいと思っても、変える事はできません。
〇リスク(値動き)を抑える分、リターンも制限される。
これもバランスファンドの宿命ですね。例えば、株式50:債券50で構成されるファンドであれば、株式のみのファンドが高騰して利益が出ても、バランスファンドはその半分の利益しか得る事ができません。
【コア・サテライト戦略】
上記のバランスファンドのデメリットを解決する手段として「コア・サテライト戦略」といった方法があります。
コアは、中心・核という意味、サテライトは衛星という意味です。イメージとしては、地球がコア、サテライトが月といった感じでしょうか。
具体的には、コア部分をバランスファンドとし、+増やしたい資産(例えば国内や先進国の株式のファンド)をサテライトとして、その時々でサテライトの部分の資産を調整する方法です。
例えば、毎月一万円を積立投資しているとしましょう。
その場合は、一万円のうち、8千円をバランスファンド、残りの2千円を先進国株式などのファンドに投資して、安定性を求めながら、少しリターンを高めるといった戦略を取る事もできます。
また定年近くになれば、逆に債券のファンドをサテライト部分として投資する事で、リスクを軽減して、より安定した運用を目指す事もできます。
要は、その年代ごとに、サテライト部分を自分で調整していく投資法です。
【バランスファンドとは?のまとめ】
今回は初心者が最初に始める事の多いバランスファンドについて紹介してみましたが、いかがでしたか?
私の場合も、一番最初に投資したのは、バランスファンド(世界経済インデックスファンド)でした。
その後、本記事で紹介したように「コア・サテライト戦略」で先進国株式(ニッセイ)のファンドなどを追加していきましたね。
現在では、サテライト部分の投資金額のほうが大きくなってしまいました。それでも、まだバランスファンドへの投資も続けています。
要は、自分に合ったリスク許容度の範囲内で投資を行う事が大切だと思います。
次回は、「積立投資」について考えてみたいと思います。
↓話題のロボアドバイザー、ウェルスナビの運用実績は?↓
↓バランスファンドに関しては、以下の記事でも紹介しています。
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投資信託の選び方。初心者がファンドを選ぶ5つの基準とは?
前回の「投資信託とは?」では、主にインデックスファンドの各指数(ベンチマーク)について紹介し、インデックスファンドとアクティブファンドの違いについて説明しました。
今回は、投信(ファンド)の選び方について紹介したいと思います。
というのも、現在販売されている公募型の投資信託の数は、約6000本と言われています。
ネット証券の大手であるSBI証券や楽天証券では、そのうち約2600本の購入が可能です。
選択肢が多いのは良い事ですが、あまりにも多いと、かえって迷ってしまいますよね。
今回は、初心者向けの投資信託を選ぶ基準について考えていきましょう!
【目次】
【初心者が投資信託の銘柄を選ぶ基準は?】
投信を選ぶ基準はいくつもあるのですが、当ブログは初心者向けの内容ですので、絞りに絞って、まず以下の基準について考えてみましょう。
(2)コスト(信託報酬など)の安いファンドを選ぶ。
(3)長期的に見て、良好なパフォーマンスを上げている投信を選ぶ。
(5)分配金を出さないファンドを選ぶ。
では、順に考えていきましょう。
(1)どこの国の投資信託(ベンチマーク、指数)を選ぶか。
まず、どこの国のどのベンチマーク(指数)に投資するかを考えてみましょう。
前回の「投資信託とは?」で詳しく説明したように、各国の株式や債券には、大別すると、以下の投資指数があります。
【参考記事】
◆株式に投資する投資信託
アメリカなど各国ごとに投資する株価指数もあります。(例:NYダウ、S&P500指数など)
◆債券に投資する投資信託
これらの指数の中から何を選んで投資するかですね。
言い換えれば、どの程度のリスクを求めるのか、あるいは許容できるかとも言えます。
リスクというと、危険度という解釈をされる方も多いと思いますが、投資の世界では、一般的に値動きの大きさと考えます。
株式と債券では、当然株式のほうがリスクが大きいです。つまりリターンも高くなる可能性が高いし、同時に損失も大きくなる可能性があります。
また国別でリスクの大きさを表すと、以下のようになります。
日本 < 先進国 < 新興国
それぞれを単独で投資する事もできますし、いくつかの指数を組み合わせて分散して投資する事もできます。
ただ初心者の方には、いきなりポートフォリオ(資産配分)を考えて投資するのは難しいかもしれませんね。
◆バランスファンド(各資産に分散した投資信託)
その場合は、上記の株式や債券の指数を組み合わせたバランスファンドというものもあります。バランスファンドであれば、それ一本で世界中の株式や債券に分散して投資する事も可能です。
↓バランスファンドに関しては、以下の記事をお読み下さい。
(2)コスト(信託報酬など)の安いファンドを選ぶ。
基本的に、上記の各指数に連動した投資信託(インデックスファンド)に投資をした場合は、どの運営会社の投信を選んでも、ほぼ同様のパフォーマンスとなります。
例えば日本株式のTOPIXに連動したファンドであれば、どのTOPIXファンドでも、大体同じです。
ただし、年間で見ると、若干のパフォーマンスの違いも出てきます。
これが、コストの違いという事になります。
投資信託にかかるコストとしては、以下のようなものがあります。
(A)購入時手数料
(B)信託財産留保額
(C)信託報酬
こちらも順に説明していきましょう。
(A)購入時手数料
購入時手数料は、投信の購入時にかかる手数料ですね。現在のインデックスファンドは、無料(ノーロード)のものも多いです。
購入時に手数料を取られてしまうと、それだけ投資元本が減ってしまう訳ですから、できるだけ購入時に手数料のかからないもの(ノーロード)のものを選ぶようにしましょう。
(B)信託財産留保額
信託財産留保額とは、主に購入していたファンドを解約(売却)する際にかかる費用です。
私達がファンドに投資している資産を換金する際に、ファンドの中でも所有している株式や債券を売って、換金して支払われます。その際、ファンドの基準価額が下がりますので、ファンドの運営を安定させるために支払う費用です。
言ってみれば、敷金のようなものですね。
信託財産留保額も、現在のインデックスファンドでは、かからないものが多くなってきています。
(C)信託報酬
信託報酬は、投資信託を保有している期間、ずーっと継続的にかかる費用です。
内訳としては、販売会社、運営会社、信託銀行に一定の割合ごと支払われます。言ってみれば、そのファンドの運営費用の事ですね。
ここ数年、インデックスファンドの信託報酬は、どんどん下がってきています。どの業界でも同じですが、中身が同じであれば、やはり価格競争という事になるのでしょう。
特に長期投資の場合は、信託報酬の違いが後々大きくなりますから、できるだけ信託報酬の安いものを選ぶべきでしょう。
(3)長期的にみて良好なパフォーマンスを上げている投信を選ぶ。
短期的には、どのファンドも上がったり下がったりはあると思います。
短期的にではなく、一年、三年、五年と、長期的にそのファンドのパフォーマンスを見て、上昇しているかどうかですね。
長期的に下りが続いているようであれば、投資対象からは外したほうが良いでしょう。
各ファンドのチャートを、長期的にしっかりと見てみましょう。
(4)資金の流入が続いている投資信託を選ぶ。
一時的な資金の流出は、何らかの原因であると思いますが、これが継続して資金が流出し続けている場合は、やはり投資対象から外したほうが良いでしょう。
私も過去に経験がありますが、資金の流出が止まらない場合や安定した運営が行われていない場合は、繰り上げ償還といって、ファンドの運営自体が終了してしまう事があります。
せっかく投信の積立をしていても、繰上償還をされてしまうと、強制的に現金化されしまいます。
(5)分配金を出さないファンドを選ぶ。
NISA口座などを除いて、特定口座などで投資信託の積立を行う場合は、分配金を排出されてしまうと、その度に約20%の税金を支払う事になります。
積立投資でこれから資産の形成をしていく場合は、分配金を排出せずに、そのファンド内で分配金を再投資してくれるファンドを選ぶようにしましょう。
他にも純資産がどれくらいか、実質的なコストはどれくらいか、含まれている銘柄を調べるなど、ファンドを選択する基準はいくつもありますが、あまり挙げ過ぎても迷うだけなので、まずは今回紹介した5つの基準を基に色々なファンドを見てみて下さい。
【投資信託の選び方 まとめ】
今回は投資信託を選ぶ基準について、5点紹介してみましたが、いかがだったでしょうか?
基本的に投資対象を選ぶ場合は、個別の株式銘柄でも同じだと思いますが、まず条件を挙げて、いくつかに絞った上での、消去法になると思います。
その上で、自分の望むパフォーマンスを上げているかどうかですね。
迷うようであれば、もう少し時期をおいてから、再度検討してみても良いと思います。
上記の基準で選択したファンドを下記記事にて紹介していますので、よろしければご参考下さい。
次回は初心者向けの投資信託として紹介されるバランスファンドについて紹介する予定です。
↓話題のロボアドバイザー、ウェルスナビの運用実績は?↓
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